2024年11月01日
価格転嫁に関する埼玉県の先進的な取組
この記事の関連カテゴリ 地域研究レポート
地域コンサルティング宇田 昭広
趣旨
エネルギー価格や原材料費の上昇、円安による海外からの輸入コストの増加等をきっかけとして、近年の日本では物価が上昇基調にある。消費者物価指数は、2021年の前年比▲0.2%から2022年に同 +2.5%に転じ、更に2023年は同+3.2%となった。消費者物価指数が前年比で+3%以上となったのは 1991年以来約30年ぶりである(図1)。2024年以降 も消費者物価指数は8月までの月次ベースで前年同月比+2%以上で推移しており、足元においても同様に物価上昇が続いている。
物価上昇は、企業にとって原材料費等の仕入価格 上昇へと繋がり、利益の圧迫要因となることから、仕入価格の上昇分を販売価格へ適切に反映させる価格転嫁が、企業が存続する上で重要となっている。この価格転嫁について、埼玉県は様々な取組を全国に先駆けて実施しており、いわゆる「埼玉モデル」として企業の価格転嫁のサポートを積極的に行っている。
本稿では、近年、企業にとって経営課題の一つとなっている価格転嫁について、価格転嫁に必要となる要素を考察しつつ、埼玉県の先進的な取組について紹介をしたい。
目次
- はじめに
- 戦略会議と価格転嫁の円滑化に関する協定
- 価格転嫁に必要な3つの要素
- 埼玉県の取組
- おわりに